魚類学者、末広恭雄博士が捕獲に情熱を燃やし、1
972年以降の艱難辛苦の末に1匹のシーラカンスを持ち帰った。
私は油壷マリンパークのがイベントで展示された、
このゴンベッサ(現地名)の前で2時間動かなかった。
まさに、進化途上の摩訶不思議な魚であった。

シーラカンスとは、ギリシャ語で「中空の脊椎」という意味。
背骨は頭から尻尾まで白い軟骨のパイプ状で、
なかには油状のものが詰まっていたとのことで、内蔵を保護する肋骨もなく、
その役割の半分は刺の付いた鱗が務めている…ともある。
で、魚体の構成そのものは両生類に近かかったという。
海から発した生物が進化途上で陸に上がり、再び、海に戻ったものもあったのである。
 
末広博士は、そのシーラカンスを食べたのである。
食後の談話として、
「シーラカンスのアミノ酸は3億年前から進化していなかった」が残っている。
よほど、まずかったに違いない。が、食べてみるという好奇心に私は憧れるのである。

私はシーラカンスが好きである。
油壺の水族館は末広博士が関わっていて、アルコール漬けが公開された。
当然ながら見に行く。その不可思議な魚体を前にして私は凍りついた。
まさにロマンではないか。